*ドイツibaカップ世界大会で優勝した浅井は、奥さんと共に2017年6月中旬で退社しました。本文中の肩書きは在職当時のものになります。--続きはこちら--
思い起こせば、約1年半前、ラ・タヴォラ店チーフの浅井一浩と新潟・冨士屋オーナーの渋谷さんと日本代表選考会で、日本代表に選ばれて、ブーランジュリー・クルミの福井さんと、自分が監督となりチームジャパンを結成しました。
最初の半年は、二人の考えた商品をメールのやり取りで見て、なかなかこれだという商品が見つからず迷走状態でした、、、。
出来るだけ選手の意見を取り入れ、迷走した時、先に進まない時は、自分が決めていきました。
二人共、飾りパンが出来るという強みがあったので、二人に飾りパンも課題を出して提出してもらいました。
今までの大会では、テーマに沿った飾りパン作っている国が多かったですが、今回はできるだけパンも「サーカス」に合った物を作って、展示した時に明るく、楽しいイメージの物にしようと決めました。
それからの商品開発は、明るい色の物を出来るだけ取り入れて少しでも「サーカス」をイメージ出来るパンを商品に決定していきました。
かなり無理のある商品も、多々ありましたが、、、、。
今回も、日清製粉(株)さん、日本製粉(株)さんに協力してもらい、何度も練習をさせてもらいましたが、最初のころの作品は、今でも写真を見ると笑ってしまう程の物です。
それから、応援講習会、東京モバックショー、九州丸菱(株)さんの展示会などで回を重ねるごとに、商品の変更、入れ替えなどを繰り返して、なんとなく決まっていきました。
全ての商品が決まると、次は時間に間に合うようにタイムトレーニングです。
場所を借りて、何度かやったところで、冨士屋さんの定休日を利用して毎週トレーニングをしたいと浅井選手に言われて、彼は自分の休みを利用して毎週新潟までトレーニングに行っていました。
そのおかげで、8月のタイムトレーニングでは、7時間制限でいつも20~30分に終わっていたのでタイムオーバーは無いと確信していました。
下の台にひく、布を決めて、名前を決めて準備は万端です。
今回はドイツ・ミュンヘンで9月12日-14日の日程で、ibaカップが開催されました。
9月7日の夜の便で、フランクフルトに向かい、バインハイムのAKADEMIAの学校に移動しました。ここで二日間の最後の練習です。現地の粉、水、ミキサーに慣れることが一番大事なのですが、二人とも大きな失敗もなく、時間も20分前には、終了していました。
応援ツアーの人達と、合流して一緒にミュンヘンに移動して14日(月)の出番を待つだけです。大会は1日4カ国出場の3日間、合計12カ国で、日本チームは最終日の3日目です。
当日は、二人共体調も良さそうで、気合を感じます。 9:00スタートから順調に進み、扱いづらいオーブンも前日の国が、下火を焦がしていたのを見ていたのでセーブしながら出来ていたようです。
タイムキーパーの福井さんと、厳密に時間のやり取りをしながら、練習の通りに進んでいきます。午後にはツアーの応援団も到着して「ジャパンコール」の中、選手は作業に集中していました。
生地の捏ね上げ温度が高かったり、飴がなかなか溶けなかったりと、細かいハプニングはありましたが、何度も練習を重ねた彼らは、焦らずに作業を進め、清掃も含め5分前には終了しました。
30分の展示の時間ですが、いつのまにかスタートしていた様でギリギリで展示を終了した様です。自分は、審査員に試食を配り、全てのパンがサーカスにつながっていることを強調しながら、食べてもらいました。
前回大会では、試食審査がいい加減でしたが、今回は、向かい合い、話を聞いてもらうことが出来ました。
その後は、待望の結果発表です。
日本のツアー団の人達のおかげで大盛り上がりです。
最初に部門賞を呼ばれて、日本は、「ショーピース、パーティー商品」の部門で受賞しました。
呼ばれたら、入賞は無いのかと心配しながら、、、。
ドイツ式の発表で、4位から発表されて日本は、呼ばれていません。
この時点で、3位以上は確定です。
三カ国が前に呼ばれ、3位フランス、2位オランダそして「優勝、ヤーパン(日本)」世界一を手にすることが出来ました。
渋谷選手、浅井選手、日本チーム、そして応援団も、涙、涙です、、。
第一回は倉田さん・鈴木さんがルールもよくわからずに参加して、第二回は自分・中谷選手はルールを大きく取り間違え入賞もできず、 第三回は渡辺選手・大村選手は良い製品を挙げたのに納得のいかない審査結果に入賞もできず、その流れを受けながら、今回の製品作り、 ピエスの表現、全体のバランス、他の国と差がつけられた事、審査員がしっかりしていたことなど、第四回ともなると、大会としても骨格がしっかりしてきた感じは受けていました。
選手も、今までで一番いい商品が上がったと、言っていましたし、最高の終わり方をすることができました。この偉業を、次に繋げるのも自分の仕事だと思っています。
お店では、いくつかの優勝賞品を販売いたします。
世界で一位になったパンを是非、ご賞味ください。
〈ブーランジュリーオーヴェルニュオーナー 井上克哉〉